前回の昭探(昭和探検隊)を思い出すこともできないほどのブランク。
今回は、奇跡の復活を遂げた病み上がり老人と行く低温温泉と甲府の老舗駅前旅館の旅だ。
首都高「永福町」から中央自動車道で山梨へ。本日の宿は、甲府駅前の萬集閣。異常な暑さが続いた今夏だったが、九月の半ばを過ぎても猛暑日は続き、熱波が淀む甲府市内へ突入するのは夕刻へとずらしたい。ノープランな我々が適当に選択したのは韮崎市の武田八幡宮。
ロケーションも雰囲気も、かなり良かった。武田家というネームバリューもあり、かなり熱心な信徒達の存在を感じる。
絶妙な苔むし加減。
ランチ難民と化した昭探メンバーは、あまりにも無計画な選択「道の駅はくしゅう」。膝はトンカツ定食を選んだが、ドレッシングが抜群だったりと充分満足。WM氏も独特の饂飩を堪能したようだ。
白州といったら台ヶ原だ。「台ヶ原〜♪キンセイケン♪」(ラジオCM)で有名な金政権、否 金精軒と、隣り合わせの七賢の蔵元(山梨銘醸株式会社)を冷やかしてみた。どちらも、大手資本特有のあざとさとは距離があり、良い意味で田舎っぽくて、ホッコリと落ち着く。それでいてグラフィックデザイン的観点からも嫌みがなくて居心地が大変良かった。
今回は初の試みとして、ISO感度をオートにしてみた。通常は、昼間はISO400固定で夜間は必要に応じて800やら1600を選択していた。しかし、折角デジタルなんだからもっとカメラ任せにして構図やシャッターチャンスに労力を注いでみようじゃなかという実験的な試みだった。
実に貴重な経験だった。FUJIFILMが選んだアルゴリズムは、ガッチリと感度を高めてシッカリとSSを早めることで極力ブレを減らして歩掛かりを高める戦略だったようだ。普段、自分が選んでいる露出とは似ても似つかない数値にビビった。
七賢では、純米「ひやおろし」を購入。帰宅してキリッと冷やしたひやおろし、実に旨かった。さすが白州の水だ。
今宵の宿「萬集閣」の一階部分には、ギャラリーと喫茶店「六曜館」。まさに昭和レトロ丸出しの店内。なぜか餃子が名物ということで、WM氏激推し。確かに旨かった。
今宵は中秋の名月であることは後ほど知る。確かに見事な満月だった。甲府駅前を歩く勤め人達が、スマートフォンを月に向けて撮影している。独り二人ではない。次から次へと撮影者が現れる。甲府の民って月マニアなの?と訝しんでいた。
宿に戻ってから知った名店。九時過ぎに再訪したら既に真っ暗だった。再挑戦を狙う。
二日目。西山温泉へ向かう。
住宅の玄関に張られた漫荼羅。本来であれば「日蓮(花押)」の部分に王舎城と記入された奇妙な漫荼羅が目を引く。
どうやらこの集落では、御守り的な扱いとして漫荼羅を貼り付けているらしい。
湯島の大杉。本当に大杉。
実にフォトジェニックな湯島の集落だった。ゼンザブロニカS2で撮影したんだけど、まともに撮れてる気がしない。現像が怖い。
湯川が早川に合流するエリアが西山温泉だ。
「世界最古の宿」を誇るらしい慶雲館の向かいに、ひっそりと庶民の為に佇む蓬莱館。ここが今回の旅の中心地だ。WM氏激推しであり、年末には必ずここの湯に浸かっていたというほどの蓬莱野郎らしい。
湯船のガラス越しには、なぜか紫陽花が。
37℃の源泉。これが実に気持よい。一時間ほどじっくりと湯に浸かる。汗をかくでもない。疲れる訳でもない。しかし、確実にストレスやら毒気やらが抜け出す。なんなんだ。この不思議な感覚は。
橙色の湯ノ花。
おいジジイ。もっと愛想よく写れよ。
宿泊者じゃないと午後3時以後の入浴はできないとのこと。Kindle持って夕方からダラダラと数時間、酒飲みながら湯に溶けたい。そのまま本当に溶けてしまっても後悔しない。
何でもない弁当。セブンイレブンの幕の内。しかし風呂上がりで適度に空腹。最高に旨い。次回はまともなイスを持参して、暖かい豚汁なんぞを工夫して更なる至福の時間を過ごそうではないか!と誓い合う爺さん達であった。
昭和30年代と思われるRC建造物。東京電力早川第一発電所 取水調整池
法善寺の檀家と思われる。この奇妙な漫荼羅はこの法善寺が配布しているようだ。調べてみると法善寺は、南アルプス市に真言宗と日蓮宗二箇所ある。当然日蓮宗と思われるが、昭和二十年代に日蓮宗から日蓮正宗に改宗した法善寺が富士宮にも存在するので断言はできない。
朽ちた看板の支柱、たまらない。新倉集落。
CALTEXブランドの日石系GS。
今回の旅は数多くの驚きを味わったが、筆頭格に上げられるのがここ、赤沢宿だ。
有り得ないほどの急勾配。まともに生活を送るには明らかに不適な場所に、所狭しと(元)宿が並ぶ。七面山信仰という不思議な宗派にとっては貴重な宿舎だったのだ。信仰の為の定宿としての使命は数㎞離れた春木屋旅館に取って代われたようだが、往年の賑わいが伝わってくる。
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