2016年9月・鶯谷の老舗といえば【Hiza-Drunken】

 

鶯谷という響きは東京人の左側の住人にとっては実にアウェイだ。近づくだけでも緊張してしまうほどのマイナスイメージを感じる。しかし、憧れを感じるから不思議だ。駅前周辺の猥雑さは相変わらずで、職業不詳のオジサン達が日の明るいうちからカウンターで悪態をついている素敵な街なんだけど、鍵屋のような渋い老舗も健在で、我々洟垂れ小僧にとっては青山のブランドショップに入店するレベルの緊張感を伴う。まあ、入ってしまえば一気に昭和の世界に入り込んでご満悦なんだけどね。

お通しの豆を摘まみながら熱燗を頂く。しばらくすると畳鰯だ。塩梅良く炙られた畳鰯を齧りながら猪口を傾けて宿り木の景色を眺める。爺いになるのも悪くはない気がしてくる。